2024.01.17
(更新日:2024年1月10日)
鉄道模型やストラクチャー模型をつかったジオラマですが、線路の見栄えをよりよくするコツにはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は、ジオラマの線路の作り方をステップを追ってご説明しながら、ジオラマの線路をよりリアルに見せるためのポイントについて解説します。
目次
まずはジオラマの線路にはどのような種類があるかご説明します。
現実での鉄道の線路は、「レール」や「枕木」、「バラスト(砂利、石)」から主に構成されています。これらは「軌道」と呼ばれており、車両を走行させるための道としてJISにより構造や仕様が決められています。鉄道模型では「バラスト軌道」と呼ばれています。
また、新幹線や高架線路ではスラブ軌道と呼ばれるコンクリート床版を設置し、その上にレールを敷設するつくりとなっています(枕木やバラストは基本的には使用しない)。
こちらも鉄道模型では「スラブ軌道」と呼ばれています。
ここからがジオラマの線路の解説ですが、ジオラマの線路は「道床付き線路」と「固定式線路」の2つに大別できます。
「道床付き線路」とは、文字通り線路と道床が一体構造となっていて、前記したバラストや枕木なども一緒に作られています。
「固定式線路」は線路と枕木からなる構造であり、バラストなどの道床は自身で敷設します。カント(後に説明)やカーブを含めた細かい線路の表現ができるため、よりリアルなジオラマを制作することができます。
鉄道模型(NゲージやHOゲージなど)では、前記のどちらの線路も使用しますが、「バラスト軌道」や「スラブ軌道」が再現されている「道床付き線路」を使用すると、初心者でも見栄えよく仕上がります。
より細かく制作したい場合に考慮したいのが「カント」です。実際の鉄道のレールは、すべてが平坦ではなくカーブをする際に、超過円進化速度(遠心力)を抑制するため、カーブする線路の内側よりも外側が高くなっています。この構造(高低差)が「カント(cant)」と称されており、鉄道模型においてもこのカント付きレールが販売されています。
「固定式線路」ではこちらを使用すると、車両の脱線を防止し、安全な走行を保つために役立ちます。
ここからは、ジオラマの線路の見栄えをよくするステップを、工程ごとのポイントを押さえながら具体的にご説明します。
ジオラマのリアルさをUPさせるならば、「固定式線路」がおすすめです。
例えば、直線から曲線まで再現できるフレキシブルなレールであれば、バラストの配置や鉄粉塗装、沿線の雑草も好みに合わせて自身でおこないやすく、世界に一つしかないリアルな線路をつくる事が可能です。
見栄えをよくするためには、不陸がない木製パネル(土台)などの上にスチレンボード(3mm)などでどっしりとした道床を敷設することです。(初心者の方は、各ホビーメーカが販売しているレイアウトボードを購入することをおすすめします)
次に、鉄道やストラクチャーなどの色合いや質感をリアルに表現するために、専用の工具や塗料を用意します。
特に、工具はきちんとそろえておくと細部まで美しく制作することができるため、以下の商品は揃えておきたいところです。
また、塗料はさまざまな模型メーカーから専用塗材が販売されています。
これらを一通りそろえ、細部の処理を丁寧に行うと見栄えはUPします。
バラスト撒きは、線路を見栄えよく見せる重要なポイントですが、撒き方はレールのタイプによって異なります。
まずは道床付きレールについてご説明します。
レールをしっかりとNゲージ用の釘またはゴム系接着剤などで土台に固定します。レールが固定できていないと、後でバラストにひびが入りきれいに固定できなくなるので注意が必要です。
次にレールの周りにバラストを撒きます。接着剤を溶かした水を線路の周りに筆で塗って、少し乾いた状態から撒けばOK。木工用接着剤を水で2倍程度に薄めたぐらいが丁度良いでしょう。
接着剤をムラなく塗り終えたら、バラストをスプーンなどで丁寧に載せていきましょう。この時、小さなスプーンを使って、線路方向にスーっと流すように巻き、最後に接着剤と混ぜた水をスポイトなどで足すとしっかり固まるため、線路の見栄えがUPします。
次に固定式線路についてご説明します。先ほどの道床付レールと同様に、しっかりとレールを土台に固定します。
固定式線路はレールの周りの砂利がないため、必要に応じてコルクや塗装したスチレンボードなどを敷きます。
線路が固定出来たら、バラストを撒いていきます。小ぶりのスプーンを使って線路の中心に盛るように撒くとリアリティーが出てきます。筆で均一にならし、霧吹きを使って全体を水で湿らせます。見栄えよく見せるポイントとして、水に一滴程度の中性洗剤を加えて表面張力を落とし、自然な仕上がりを意識します。
最後に、スポイトで接着剤を混ぜた水を滴下して、バラストを線路に固定します。
いずれの線路も、しっかりバラストを固めるため、模型を施工した後24時間程度は放置しておくとよいでしょう。
見栄えよく見せるポイントとして、2色のバラストを混ぜたり、先ほどご説明したウエザリング塗装で、本物同様のレールの汚れやバラストの色ムラなどを再現したりすると、よりリアルな鉄道模型の世界観を演出することができます。
次に、鉄粉や雑草を施して、環境のリアル度を高めます。
注意するポイントとしては、鉄粉は固まりすぎないように線路に沿って微量を撒くと良いでしょう。大量な固まりがレールの周りにあるとリアリティーに欠けてしまいます。
雑草は、一般的にターフやパウダーを用います。雑草は2〜3色ほど混ぜるとよりリアルな雑草の様子が表現できるでしょう。
そして、雑草を道床の外側に沿ってランダムに撒きます。少量ずつバランスよく施し、一度配置しては全体を俯瞰しての作業を繰り返して、色合いも調整することがポイントです。
線路が完成したら、その線路をよりリアルに見せるためにできるポイントをご紹介します。
鉄道模型が走行する風景の中の山や川、建物なども線路に合わせてリアルに整備します。
山や川などの自然のストラクチャーは、前記したターフやパウダー、塗装剤を駆使して表現できますが、建築物などの大きなストラクチャーはボリュームが大きいため、手を抜くと全体が野暮ったい印象になりリアリティに欠けます。
ですので、NゲージやHOゲージであればスケールが合った建物が別途販売されているため、そちらを購入してレイアウトすることをおすすめします。それらは戸建てからマンションまでそのまま配置できる模型となっており、リアリティUPのためには必要不可欠です。
しかし、鉄道車両をメインとしたジオラマ模型の主役はあくまでも車両と線路なので、ストラクチャーの過度な置きすぎや装飾には注意しましょう。
模型スケールに合った人形模型を駅などのストラクチャー周りに適度に配置すると、臨場感もUPするためおすすめです。
鉄道模型やストラクチャー模型(山や川、建物や構造物など)のほかに、ガードレールや看板、電動で動く踏切やターンテーブルなども設置しましょう。
これらの細かい添景を配置することで、リアリティーが非常に高まります。
見栄えをよく見せるポイントとして、これら物は現実世界では多少汚れているため、ウェザリング塗装により劣化を再現すると良いでしょう。
よりリアルさを追求される方は、自身が再現したい季節や時間帯の写真を撮影し、その瞬間の情景をオリジナルなジオラマとして再現するほどです。
写真を撮る際は、そのアングルだけにこだわるのではなく、車両や線路がどのような色に見えるか、周辺のストラクチャーや自然はどのようなボリュームでどんな色味に見えるかなど、周辺環境の見え方にも着目することがポイントです。
線路の周りに山岳や渓谷などの比較的難易度が高い添景を制作しなければならない場合は、土や水の表現を丁寧に行ってジオラマをよりリアルなものに高めましょう。
見栄えよく丁寧に制作されたジオラマの線路の買取での判断はどのようなものなのでしょうか。
鉄道模型の世界では、線路は見た目も機能も重要な要素です。まずは車両が円滑にダイナミックに走ることができるかどうかが最重要ですが、世界観に合った造作がされていれば買取価格はもちろんUPします。
ただ、ジオラマが大きすぎる場合は(2m×2m以上)車に積めない場合やそもそも部屋から出せない場合もあるため、2m×2m以下で制作されると買取後の取引も行いやすく査定は非常に良い判断ができます。
ですので、ジオラマを制作される際に売却を考えるなら小さめに作り、ターンテーブルや稼働する踏切や駅にすることで高価買取につながります。
また、ウェザリング塗装に自信がある方は、橋脚や線路わきなどの鉄粉汚れなども再現させることで技術的付加価値を付けて高価買取を狙うのもおすすめです。
最後に、線路は手の込んだ細工が多いため、ジオラマが仕上がった後も定期的な清掃や、走行メンテナンスは忘れずに行いましょう。
今回は出張買取において、ジオラマの線路を見栄えよく見せるコツついてお伝えしました。
線路はジオラマでの車両に次ぐ主役の要素であり、意匠性や機能性が非常に重要となってきます。
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