2021.09.01
(更新日:2023年5月9日)
今回は鉄道模型店を全国展開する「ポポンデッタ」をご紹介致します。
目次
ポポンデッタ(Popondetta)は、1999年に創業されました。
創業者は、当時税理士をしていた太田和伸氏です。創業当初はファミリー経営であり、通販のみで展開する鉄道模型店でした。
ですが2002年、渋谷区に実店舗を開いてからは各地に模型店を展開。
フランチャイズ展開の鉄道模型買取「ポポンデッタクラスタ」、鉄道のコンセプトカフェ「スチームロコモティブ」経営などに業務内容を拡大しています。
2018年には1976年創立、1978年創業の飛鳥出版をグループ会社として鉄道関連書籍の出版もスタートさせました。
耳慣れない「ポポンデッタ」という社名は、ポポンデッタ・フルカタという熱帯魚にちなんだものとされています。
これは、当時まだ限られた玄人のための趣味というイメージのあった鉄道模型に明るい印象をもってもらうためにと創業者がつけたものです。
取り扱っているのはNゲージ鉄道車両やジオラマ素材、Tシャツや靴下といった鉄道グッズ、コンテナ収納ボックスなどです。
通販事業からスタートしただけあり、現在もポポンデッタオンラインショップでは、ポポンデッタの製品だけでなく、トミックス、グリーンマックス、KATO、マイクロエース、モデモなどの新品、中古品を広く取り扱っています。
Nゲージ鉄道車両は、河合商会から引き継いだ車両モデルの販売を主としていますが、「ポポ貨車」というオリジナル貨車も手がけています。
ジオラマキットの一部は、2013年設立の子会社「ポポプロ」から「memory’s」という名義で販売されています。ジオラマやLED夜景システム、また会津砕石有限会社による鉄道模型用バラストなどの取り扱いがあります。
ポポンデッタは比較的新しい鉄道模型店であり、グループ会社や子会社から鉄道関連書籍やジオラマ関連商品を販売する、中古の鉄道模型やミニカーを専門として買取店をフランチャイズ展開するなど、戦略的ともいえる広い経営が特徴です。
こうした経営のあり方は、創業者が税理士という背景に理由があるのでしょう。明るさや色あざやかなイメージにあやかろうと社名を熱帯魚にちなむというのも、ユニーク。
河合商会の車両モデルを引き継いで販売するなど、オリジナルの造形を追求するより、むしろ鉄道模型業界全体を盛り立てていこうというスピリットを感じる企業といえます。
ポポンデッタでは、「鉄道模型の走るしくみ」や鉄道模型のサイズの違い、始めるために必要なアイテム、そして「巨大レイアウトで走らせてみませんか?」などのコラムが収録されたビギナー向けの入門冊子を製作しており、通販を利用するユーザーに無料配布しています。
はじめて鉄道模型を購入する人でも安心して模型を楽しめるという環境づくりを丁寧にしているところが、ポポンデッタの特徴といえるかもしれませんね。
さらに、中古模型の買取に特化した店舗のフランチャイズを展開することで、希少価値のある模型や限定模型を多くのコレクターが手に取れる仕組みを構築していることも、鉄道模型企業として特筆に値します。
鉄道関連イベントへの出店も積極的で、鉄道模型ファンにとって親しみやすいイメージがあるかもしれませんね。
ほとんどのポポンデッタ関連店舗は古物商の許可を取得しているため、店頭での査定だけでなく、郵送や出張による買取なども広く行われています。
ポポンデッタが親しまれる理由は、「鉄道模型ファン」や「コレクター」との距離が比較的近い点にあるのではないでしょうか。
戦後に運営されていた老舗鉄道模型メーカーは、ほとんどが欧米への輸出製品として製造されていたため高価で手が届かない人が少なくありませんでした。
現在ではすでに廃業しているメーカーも多く、ほとんどの鉄道模型ファンにとって高嶺の花のような存在と見なされています。
一方、鉄道模型以外の玩具を手広く扱う有名おもちゃメーカーは現在でも存続していますが、会社組織が巨大になり、模型ファンだけに寄り添う存在とはいえません。
そうしたメーカーや企業と比べると、ポポンデッタは近年に鉄道模型業界に参入した会社であり、河合商会の模型を引き取って販売したり中古買取・販売を広く行ったりと鉄道模型の業界に寄り添う姿勢が見える会社です。
また、鉄道関連書籍を出版するのに出版会社をグループ会社化する、別会社としてジオラマ製品を扱う、鉄道模型関連イベントに積極的に出店するなど鉄道模型業界を盛り上げていこうという姿勢が感じられる運営姿勢にも好感がもたれやすいのではないでしょうか。
もともと通販専門の会社として事業をスタートさせたという背景もあり、実質的な本店や事務所がある東京以外の模型愛好家も、気軽に利用しやすいといえるでしょう。
創業者には、実店舗を作るなら家族やパートナーと一緒に訪れやすい明るいイメージのするお店にしたいというポリシーがあり、イオンモールなど大型の商業施設にも積極的に店舗を出店していました。
現在は閉店している拠点もありますが、鉄道模型愛好家にとっては共感できる等身大の思いを感じられる言葉です。