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硬券の作り方とは|製作工程と歴史やデザインの変遷からみる硬券の魅力

雑学・小ネタ

(更新日:2024年7月24日)

硬券の作り方とは|製作工程と歴史やデザインの変遷からみる硬券の魅力

硬券(こうけん)は、鉄道ファンやコレクターの間で高い人気を誇る、厚紙で作られた切符です。その独特のデザインと歴史的価値は多くの人々を魅了しています。

この記事では、硬券の作り方やその製作工程や使用される素材について解説します。また、硬券の歴史やデザインの変遷を辿りながら、その魅力に迫ります。

硬券とは

硬券とは

硬券(こうけん)とは、日付や乗車駅・降車駅などの必要な情報が活版印字されている厚手の切符を指します。

硬券の素材は、0.7mm程度の厚紙(ボール紙)で作られています。また、鉄道会社独特の地紋や発着地の駅名や日付などが印刷されており、当時の乗客数を管理する上で重要な役割を果たしていました。

当時は発駅と着駅が印刷された券を予め用意しなければならず、非常に多くの種類の硬券を準備しておく必要がありました。特に都心部の乗降客数が多い駅は多くの硬券を作成していました。

一方、鉄道の需要があまり見込めない駅はいくつかの駅名を印字しておき、その駅の直下部をハサミで切り落とすなど、工夫して使われていました。

また、発駅や着駅が未記入であり、都度手書きなどで硬券に記載する補充型乗車券も当時は多く見られていました。

しかし現在では、鉄道の利用者数も多くなり、券売機や改札機もオートメーション化していることから、日本で硬券を乗車券や入場券として取り扱っている鉄道も少なくなりました。

硬券の歴史

次に硬券の歴史についてご説明します。

硬券が初めて使用されたのは19世紀初頭(1836年頃)。イギリスのニューカッスル&カーライル鉄道のミルトン駅駅長であったThomas Edmondson(トーマス・エドモンソン)の発案によるものと言われています。

それまでは、薄い紙に手書きで発着駅名などを記載していましたが、特にナンバリングもなく、鉄道の売上を把握する上では効率が非常に悪いものでした。

そこで、厚めの紙に発着駅名や運賃、通し番号をダッチングマシーンにより印刷し、乗車する際に改札ハサミで跡をつけて降車する際に回収するというシステムが導入されました。

(ダッチングマシーン:活版印刷ができる日付印字器)

具体的には、切符を着駅ごとに1枚ずつ順番に番号をつけて番号順に発券し、一日に残った一番若い番号と前日の番号を比較することで発券枚数を把握します。このシステム(エドモンソン式)が、硬券の普及のスタートとされています。

この方式は、人の手で券の番号を把握する必要があり、番号が一度ずれると発券枚数の把握が大変だったのではと考えられています。

しかし、当時では合理的な管理手法であり、1840年代頃から、イギリスをはじめとしてヨーロッパに普及していきました。

日本での普及

次に、日本での硬券の歴史をご説明します。

日本においては1872年9月12日に新橋から横浜間の鉄道が開通し、開業記念式典入場券が日本初の切符と言われています。

当時、鉄道技術の最先端であったイギリスより、鉄道システムの導入や技術支援を受けて、日本でも鉄道が開業しました。その際、硬券の用紙や印刷技術、印刷機械等もイギリスから伝承されたものだと言われています。

その後は、鉄道利用の拡大や技術の飛躍的な成長により、自動券売機の全国的な普及をきっかけに、硬券から薄い切符の軟券にシフトチェンジしていきました。

また、ICカードシステムの導入により硬券は首都圏や首都圏をつなぐ鉄道では姿を消してしまいました。

硬券のデザイン変遷

では次に、硬券のデザインの変遷についてご説明します。

素材の変遷

硬券のデザインの特徴の一つは厚手のボール紙という素材でできている点です。

硬券がボール紙である理由は、明治時代の鉄道創業期にイギリスから車両や鉄道技術・システムが伝わりましたが、その際に券の印刷技術や紙も併せて輸入され、それをそのまま継承したからです。

このボール紙という存在感がある券の台紙は、今日まで大きく材料を変えることなく使用されてきました。

後にご説明しますが、硬券のサイズや読み方は変わりましたが、この素材だけは変わらず名前の通り硬券の重要な要素として受け継がれてきました。

大きさの変遷

その硬券は縦横のサイズの違いにより、「A型券(縦30mmx横57.5mm)」「B型券(縦25mmx横57.5mm)」「C型券(縦60mmx横57.5mm)」「D型券(縦30mmx横88.0mm)」の4種類の規格に分類することができます。

A型券:1872年~

A型券のサイズは、縦30mm×横57.5mmで、当時のイギリスで使用していたサイズがそのまま日本に伝わり、駅への入場券・乗車券・急行券・特急券・グリーン券などで使用されていました。

日本では1872年に初めて使用され、硬券の寸法の原型となったと言われています。

B型券:1928年~

B型券のサイズは、縦25mm×横57.5mmで、A型券以降の常備入場券として使用されていました。

大きさはA型券より縦が5mm短く、主に入場券や乗車券、乗車標として使用されていました。

第二次世界大戦が始まり、日本では物資不足になっていたという背景から、用紙節約のためにA型より少しサイズの小さいB型に変わったとされます。これにより、当時の硬券板紙の断裁前の紙(マザーボードのようなもの)から取れる枚数は、A型券で108枚、B型券で135枚になりました。

C型券:1907年~

C型券のサイズは、縦60mm×横57.5mmで、A型券の2枚分の大きさがあります。主に連続乗車券や振替乗車券、記念券として使用されていました。

こちらはA型やB型券と比較すると大きいことから、印刷場の要請で生産が縮小されていった歴史があります。

現在では、鉄道の切符としてはほとんど見かけませんが、食券販売機(領収書付きタイプ)などで見かけることもあるサイズです。

D型券:1964年~

D型券のサイズは、縦30mm×横88mmで、A型・B型券よりも横幅がかなり長いことが特徴。書き込まれる情報量が多い切符として、主に特急券や急行券、寝台券、往復乗車券、記念乗車券として使用されていました。

しかし、生産量はA型・B型券よりも少なく、前述した硬券板紙の全紙から取れる枚数は72枚と、日常的に多く使用する駅には適していませんでした。

これらのA〜D型券は順番に変遷していったわけではなく、戦争による物資不足や材料の合理化、利用客の多さなどの影響を受け、その場所で最適なものに変更されていきました。

読み方の変遷

硬券の一番大きい変遷は、明治・大正期から昭和の初め頃にかけて、文字が右読みから左読みに変わった点です。

また、文字自体も明朝体ではありますが、独特なデザインで、この頃の硬券はかなり価値があると言われています。

硬券の作り方:素材

ではここから、硬券の作り方についてご説明いたします。

まずは素材ですが、基本的には0.7mmのボール紙を使用します。偽造防止のため、硬券の板紙は製紙メーカーで特注されて制作されます。

また、板紙の成分や重み、厚みも硬券を採用している各鉄道会社の規定に合わせて作られるため、類似している板紙は少ないと言えます。

硬券の作り方:地紋の印刷工程

硬券の作り方:地紋の印刷工程

次に、板紙に地紋(じもん)と呼ばれる鉄道会社特有の模様を印刷します。

この地紋にはさまざまなパターンがあり、文字や記号、文様を組み合わせて描かれているため、硬券の偽造防止に役立っています。

硬券の作り方:裁断工程

次に裁断機で規格サイズ(A型券〜D型券)に裁断されます。

硬券ははがきや封筒などの印刷物と比べてとても小さいため、裁断機の精度が求められます。よって、硬券専用の裁断機を用いて、切り分けていきます。

硬券の作り方:活版印刷工程

最後に、裁断された硬券に活版印刷を施します。

活版印刷とは、現在のインクジェットのプリンターのようにインクで文字や図を描くのではなく、文字一つ一つが版(スタンプ)のようになっており、インクが付いた版が紙に押し込まれることで印刷ができる手法です。

よって、硬券には活版印刷特有のインクの濃淡やにじみがあることが大きな特徴であると言えます。

また、硬券には、活版印刷で番号と日付が印字されます。硬券にシリアルナンバーや日付を印字することで、その駅をその日に利用した乗客数が把握しやすくなります。

硬券の買取市場とは

硬券の買取市場では、廃線や廃駅になった鉄道のものが高価買取される傾向にあります。それは、なくなった駅や電車でつかわれていた硬券にコレクターのみなさんはロマンを感じるからです。

その中でも、買取額が高いとされるものは、未使用品が価値が高いとされています(状態によっても価値は変わります)。

また、ハサミやパンチ跡があることで価値が上がるケースもありますが、その跡が文字や日付に被ってしまえば、価値はダウンしてしまうケースもあるとされています。

出張買取は「鉄道本舗」にお任せください!

今回は硬券の歴史やそのデザインの変遷、作り方についてご説明いたしました。

硬券は、そのデザインや文様、印字が多種多様であり、ある時代のものはコレクターにとって当時の背景を想起させるため、買取の際には需要がある商品の一つです。

お客様のお手元に、場所や年代が不明な硬券がある場合や大量に硬券を収集していて価値がわからない硬券がある場合などは、お気軽に弊社、鉄道本舗にご相談いただければと思います。

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